知っておきたい仏壇のお手入れと掃除法を詳しくご紹介!

朝夕に手を合わす仏壇は、一見きれいに見えるようでも、案外ホコリや汚れがついているものです。

朝夕に手を合わす仏壇は、一見きれいに見えるようでも、案外ホコリや汚れがついているものです。しかし金箔や繊細な彫刻が施されているため掃除がしにくいというイメージが強く、手付かずのままになっている家も多いのではないでしょうか。

ここでは仏壇の美しさを保つ日常的なお手入れと、年に数回の丁寧なお掃除の方法をご紹介します。

仏壇にはいろいろな汚れがある

仏壇にはお部屋や家具とは違う特有の汚れもあります。まず仏壇の汚れの種類からみていきましょう。

ホコリ

仏壇は朝のお参りで扉を開け、夜のお参りで閉めるのが一般的です。そのため日中に部屋のホコリが入り込んできても不思議はありません。ホコリは壁や高い場所から下に落ちてくるので、目につきやすい高さの棚板にホコリがあれば、その上部や側面にもホコリは付いています。

ろうそくのスス

ろうそくの内側の炎は燃焼温度が低いため、不完全燃焼となり炭素が出ます。それがススです。ススは煙とともに上に上がるので、仏壇の天井部分に多くつきます。

線香のヤニ

線香を焚くと出るヤニは、材料である木の樹脂が燃焼されるときに出る木タールというものです。ヤニは香炉の蓋の裏にべったりとつきますが、それは木タールが香炉という狭い場所で濃縮されるためです。

カビ

カビはホコリの中に含まれるタンパク質や油脂を栄養として発生します。そんな栄養を餌に密閉性が高く通気性が悪くなった現在の住居では、仏壇もまたカビが生えやすくなっています。

その他

お供えをする仏花の花粉が風や人の動きで飛び散って、こびりついてしまうことがあります。とくにユリの花粉は粘着性があるため取れにくいものです。

また仏壇はご飯やお菓子などが供えられるため、ゴキブリなどの虫が入りやすく、そのフンや卵が落ちていることで不衛生な場所になりがちです。

普段の簡単お手入れ+年に数回の丁寧な掃除

このように仏壇にはさまざまな汚れがありますが、仏壇の材質や形状を考えると手入れや掃除は難しいものと思われがちです。しかし普段の手入れは汚れの元となるホコリを払うことが主なので、決して難しいものではありません。

ホコリはフワフワ漂っている間は楽に取り除けますが、湿気で固まったりカビが生えていたりするとなかなか落としにくいものです。

そうならないためにも日頃からホコリをためないように手入れをし、あとは年に数回程度隅々まで丁寧に掃除をするという組み合わせをおすすめします。

普段のお手入れの手順とポイント

普段は毎日のお参りの前か後にさっとホコリを払うだけでもよいでしょう。習慣となればいつも仏壇に目を配ることで小さな汚れも見つけやすくなります。

それではお手入れの手順とポイントをみていきましょう。

仏具は一旦外してから

まず、お手入れの前に仏具を一旦外しましょう。そのまま始めてしまうと、うっかり倒したり引っ掛けてしまい、仏具や仏壇を傷つけたり水や灰を撒き散らかしてしまいます。慣れないうちは仏具を移動させると元の場所に戻せないこともあるので、現状復帰用に基準の写真を撮っておくとよいでしょう。

とはいえ普段の手入れでは仏具すべてを取り外さなくても主要なものだけに絞り、手短に済ませた方がお手入れの習慣が長続きするものです。なお漆塗りの位牌や、金属製の仏具を移動する時は、素手で触ると手の脂がついて変質してしまう恐れがあるので綿の手袋を使うことをおすすめします。

毛ばたきで上から下へとホコリを払う

ホコリは上から下へ落ちてくるので、ホコリを払う順番は上から下に行います。ホコリを払う道具は毛ばたきが便利です。鳥の羽根製だけでなく静電気で汚れを吸着する科学繊維製のハンディモップでもよいのですが、薬品を染み込ませてあるタイプはシミの原因になるので避けましょう。

水拭きはしない

唐木仏壇でも金仏壇の漆塗り部分でも、どちらも水分を嫌うので水拭きはせず乾拭きが基本です。仏壇拭き専用のクロスを使えば、傷をつけずに軽い汚れは落とせます。汚れによってどうしても洗剤や水を使う時は、そのあとすぐに乾いた布で水分を十分拭きとっておきましょう。

金箔は触らない

金仏壇の金箔は非常に繊細なため、触ると剥げ落ちてしまいます。毛ばたきでも当たり方によってはとれてしまうので、出来るだけ触れないようにしましょう。

年に数回、手が届きにくい部分まで掃除をする

日常的にホコリを払うという基本の手入れができていれば、あとは普段手が届きにくい部分を年に数回の頻度で掃除をすれば大丈夫です。

掃除をするタイミング

掃除のタイミングは「必ずいつがよい」という決まりはありませんが、お盆や春秋のお彼岸など宗教的行事の前や、年末の大掃除、故人の命日の前などが一般的です。もちろん汚れが気になる度でもよいのですが、人が集まった時にきれいな仏壇で気持ちよくお参りしてもらいたいという思いから、行事前に掃除をする人が多いようです。

日頃の手入れや仏壇の年数にもよりますが、頻度としては1年に2〜3回程度の掃除をおすすめします。

天候と時間帯

掃除をする日は晴れた湿気の少ない日を選びましょう。また細部の汚れの見落としがないよう、明るい時間の内に作業をすることが大切です。とくに年配者は老眼で細かい汚れを見落としがちなので、午前中から始めることをおすすめします。

掃除前の準備

  • 現状復帰のため、すべての物の位置がわかるように写真を撮る
  • 掃除を始めるとホコリが舞うので、部屋の窓を開けて風通しを良くしておく
  • 床に新聞紙を広げ、仏壇から外した仏具の掃除スペースを作る
  • 掃除道具を一箇所に集めておく

掃除グッズ

  • 毛ばたき(ハンディワイパー)、柔らかい掃除用の筆
  • 柔らかい布または仏壇掃除用クロス
  • 住宅用洗剤、仏壇仏具用クリーナー、仏具用研磨剤、ロウ落とし剤
  • 綿手袋、マスク

仏壇内部と外側の掃除

マスクと手袋をし、仏壇の中の仏具をすべて取り出してから内部を掃除します。

まず上の方から下に向かって順番に毛ばたきでホコリやススを落としますが、虫の死骸や卵などがあれば掃除機で吸い取っておきましょう。その後乾拭きします。この時、ひどい汚れや垂れて固まったロウがあれば専用クリーナーで除去しましょう。

欄間などの彫刻部分のホコリは、柔らかい掃除用の筆を使ってやさしく取り除きます。ゴミが挟まっている場合、綿棒などで力を入れて取ろうとすると彫刻が折れてしまうので無理は禁物です。また扉の障子の桟も折れやすいので、同じく筆で軽くホコリを取り除きます。

金箔部分や沈金部分は原則触れないようにしたほうが安全でしょう。内部が終わったら扉や側面、天井、台部分を乾拭きし、扉を開けておきます。

仏具の掃除

仏具は金属製、木製、陶器製のものがあるので、素材にあった洗剤や道具を使用します。真鍮などの金属製のものは使っているうちに輝きがなくなり、色がくすんでくるので研磨剤で磨きますが、その後研磨剤が残らないように柔らかい布で拭き取ります。

ただしメッキの場合、研磨剤を使うと剥げてしまうので事前に素材を確認しましょう。御本尊など木製の仏具は柔らかい布で拭きますが、金箔仕上げの場合は筆でそっとホコリを払う程度にします。

陶器製の香炉の蓋の裏はヤニがこびりつきやすいものですが、住居用洗剤をスプレーしてしばらく置くとヤニが溶け出してきれいになります。あとは水洗いをして乾かしましょう。

自宅での手入れや管理が難しくなったら

こうしたお手入れや掃除で仏壇はある程度美しさを保てますが、経年劣化が激しくなればプロによる掃除や買い替えを考えた方がよい場合もあります。

仏壇を洗濯する

仏壇の洗濯といっても家で仏壇を丸ごとゴシゴシ洗うわけではありません。仏壇の洗濯とは仏壇を解体し特殊な洗剤で汚れをきれいに落とし、傷んだ箇所を修復し、金箔を張り替えることで新品のように蘇らせる特殊技術です。

汚れや痛みが目立つ場合、専門業者に仏壇の洗濯を任せてみてはいかがでしょうか。

手入れのしやすい仏壇に買い換える

大きな金仏壇や唐木仏壇は、日々のきちんとした手入れが必要です。しかし仕事が忙しい若い世代は手入れをする時間がなかったり、また高齢者の場合は身体的に手入れや掃除が困難になったりして、仏壇がホコリを被ってしまうこともあるでしょう。

もし仏壇がある程度古くなっている場合は、手入れのしやすい素材やシンプルなデザインの現代仏壇に買い換えるのもひとつの方法かもしれません。

まとめ

仏壇は家の中の小さなお寺といわれていますが、仏様や故人と心を通わす大切な場所です。簡単な手入れを普段から心がけることで耐用年数は長くなり、より愛着のもてる存在となることでしょう。

「仏壇のふるさわ」では、各店舗ならびにオンラインショップにて各種仏壇仏具、お手入れ用品を取り揃えてお待ちしています。お気軽にお問い合わせください。