仏壇は宗派によって違う?仏壇を処分する時に気を付けたいこととは

仏教にはさまざまな宗派があり、宗派によって教義は異なります。仏壇についても宗派や地域によってさまざまな特徴があります。

仏教にはさまざまな宗派があり、宗派によって教義は異なります。仏壇についても宗派や地域によってさまざまな特徴があります。どんな宗派の仏壇でも、処分する前には家族に連絡をすることと、仏壇内に見落としがないか確認することが大切です。

仏壇を処分する時、浄土真宗では「魂抜き」ではなく「遷座法要」をする必要があります。

宗派によって異なる仏壇について

仏壇を見比べる機会はほとんどないので、宗派によって仏壇に違いがあることをご存知ない方も多いのではないでしょうか。同じ仏教であっても、宗派によって教義は似ているところもあれば、少しずつ異なるところもあります。そのため、仏壇についても宗派によってそれぞれ特徴をもっています。

次の8つの仏教はどんな宗派で、仏壇にはどんな特徴があるのでしょうか。ただし、宗派のなかにもさらに細かく分かれた宗派があったり、お住まいの地域によって仏壇に何を飾るかが変わったりする場合があります。

  1. 浄土真宗
  2. 浄土宗
  3. 天台宗
  4. 真言宗
  5. 日蓮宗
  6. 曹洞宗
  7. 臨済宗
  8. 時宗

浄土真宗

浄土真宗の開祖は親鸞で、浄土宗の開祖である法然の弟子でもある人です。現在、浄土真宗は国内で一番多い宗派であるといわれています。ご本尊は阿弥陀如来なので、仏壇の中央も阿弥陀如来を祀ります。仏壇は全体的に金色に輝く金仏壇で、向かって右側に親鸞聖人、左側に蓮如上人の影像あるいはそれを表す文字が刻まれているのです。

浄土真宗のなかには、本願寺派と西本願寺派の2つがあります。本願寺派は仏壇内部の柱が黒いのに対して、西本願寺派は金一色となっています。

浄土宗

浄土宗の開祖は、法然です。仏壇は金仏壇が多く、ご本尊は阿弥陀如来です。仏壇は向かって右側に高祖である善導大師、左側に開祖である法然上人の仏像を飾ります。浄土宗の仏壇の特徴は、仏壇内の最上段にあるご本尊の真下にご位牌を安置することです。

天台宗

天台宗は中国の僧である智賢が実質的な開祖で、最澄によって日本に伝えられました。天台宗は日本の仏教の原点ともいえる宗派で、天台宗がもとになってほかの宗派へと広がっていったと考えられています。

仏壇は唐木仏壇が主流で、ご本尊は釈迦牟尼如来です。向かって右側に開祖である天台大師こと智賢、左側に大教大師こと最澄の影像が飾られています。

真言宗

真言宗は、「弘法も筆の誤り」ということわざで有名な弘法大師こと空海が開祖です。ことわざにもあるように、空海とはとても字が上手だったことが現在にも伝わっている僧です。

真言宗のご本尊は、大日大師です。大日大師は、「智拳印」というポーズをしているのが特徴です。左手の人差し指以外は指を曲げ、伸ばして立てた人差し指を右手で握った、他のご本尊では見かけることのない珍しいポーズとなっています。仏壇は向かって右側に弘法大師、左側には不動明王の像を飾ります。

日蓮宗

日蓮宗の開祖は日蓮で、ご本尊は大曼荼羅です。仏壇の真ん中奥に大曼荼羅の掛け軸が飾られています。

日蓮宗の仏壇の特徴は、大曼荼羅の掛け軸の手前に開祖である日蓮上人の木像を安置することです。仏壇は向かって右側に鬼子母神、左側には大黒天を飾ります。関東と関西で左右の配置が入れ替わることもあります。

曹洞宗

曹洞宗の開祖は禅僧の道元で、ご本尊は釈迦牟尼仏です。仏壇は向かって右側に開祖である道元禅師、左側に曹洞宗から派生した蛍山宗の開祖である蛍山禅師の掛け軸を飾ります。右側に承陽大師、左側に常済大師の掛け軸を飾ることもあります。

臨済宗

臨済宗の開祖は、栄西です。曹洞宗と同様、ご本尊は釈迦牟尼仏です。臨済宗の仏壇の特徴は、仏壇の右側に中国禅宗の開祖である達磨大師の掛け軸を飾ることとなっています。達磨大師とは、インドで仏教僧として禅宗の発展に貢献した人です。

臨済宗のなかでも宗派によって異なりますが、左側には観世音菩薩の仏像、あるいは花園法王の掛け軸を飾ることが多くなっています。

時宗

時宗の開祖は一遍で、鎌倉仏教のひとつです。ご本尊は、阿弥陀如来です。

仏壇は向かって右側に開祖である一遍上人、左側には真教上人の掛け軸を飾ります。真教上人とは、一遍が亡くなった後に時宗が滅びかけた時に再興のために尽力した人です。

仏壇の処分方法について

宗派によって仏壇の特徴は異なります。仏壇の処分方法についても、宗派によってさまざまな考え方があります。仏壇を新しく買い替える時や、引っ越しや引き継ぐ人がいなくて仏壇を処分しなければいけない時は、ふだんからお世話になっているお寺に相談するのが一番良い方法でしょう。宗派に合った方法できちんと処分してもらうことが可能です。

処分する前には、お世話になっているお寺で「魂抜き」の供養をしてもらいます。そのお寺で合わせて処分を依頼するか、新しく買い替える時には新しい仏壇の搬入と同時にいらなくなった仏壇を仏壇・仏具店に処分してもらう、あるいは粗大ごみとして自分で処分することもできます。粗大ごみとして処分する場合は、お住まいの地域のルールに従って仏壇を処分してください。

仏壇を処分する時に気を付けたいことは、「処分前に家族に連絡する」「仏壇内の中身をしっかり確認する」の2点です。

処分前に家族に連絡する

家族にとって仏壇はあの世にいるご先祖様との繋がりを感じられ、長年にわたって大切にし続けてきたものです。そのため、家族に連絡せずに勝手に仏壇を処分すると、思わぬトラブルになりかねません。遠方に住む家族であっても、後のトラブルを防ぐために仏壇を処分する前には必ず連絡を入れましょう。

仏壇内の中身をしっかり確認する

仏壇には、遺影やご位牌、仏具など付属するものがいろいろとあります。そのため、仏壇を処分する時に確認を忘れやすいのは、引き出しの中身です。また、仏壇の中には、隠し引き出しがあるものもあります。ご先祖様が大切にしていたものや、家系図や証文など家に関する資料が残されている場合があるので、処分する前にはしっかり確認しましょう。

浄土真宗の仏壇の処分方法について

仏教の多くの宗派では、仏壇を購入した時にはご先祖様が宿っていただけるように「魂入れ」という儀式を行います。そして、仏壇を処分する時にはご先祖様に感謝の気持ちを示し、供養するために「魂抜き」という儀式を行うのです。

しかし、浄土真宗の教義のなかには、人が亡くなるとすぐに天国に召されるというものがあります。そのため、浄土真宗の場合は魂抜きをする必要はありません。

その代わりに「遷座法要」という供養を行います。遷座法要は遷仏法要とも呼ばれ、ご先祖様が鎮座している場所を遷すという意味合いのある法要です。

まとめ

仏教にはさまざまな宗派があり、仏壇についても祀っているご本尊や飾るものが異なります。それぞれの宗派の仏壇を見比べる機会は少ないですが、それぞれ特徴があります。より細かい宗派やお住まいの地域によっても少しずつ特徴は変わってくるのです。

いらなくなった仏壇を処分するには、日頃からお世話になっているお寺で魂抜きの供養をしてもらってから合わせて処分も依頼します。仏壇を新しく買い替える場合はお寺では魂抜きだけをしてもらい、仏壇・仏具店による新しい仏壇の搬入と同時に古い仏壇の処分を依頼することもできます。また、大きくて重い仏壇を持ち運ぶことができるのであれば、粗大ごみとして自分で処分することも可能です。お住まいの地域のルールに従って処分しましょう。

浄土真宗の場合は教義がほかの宗派とは異なるため、仏壇を処分する時は魂抜きではなく遷座法要という供養を行う必要があります。

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