子どもの頃から仏壇がご実家にあり、家族と一緒にお供えをする習慣があった方は、お供えの方法について詳しいことでしょう。
しかし近年、仏壇がないご実家も多く、いざご実家を独立されて仏壇を置くことになった場合、どのように仏様に接すればいいのか、何をお供えしたらいいのか検討がつかない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、仏壇への日頃のお供えの基本である「五供」を中心にお供えについてお話しします。
お供えの基本は「五供」
五供とは、仏壇にお供えする基本となる「香り」「花」「灯燭」「お水」「飲食」の5種類のことで、日々のお供えに欠かせないものだと言われています。しかし、慌ただしく過ごす日々の中で頻繁にこれらの入れ替えを行うのはとても大変です。
5種類ひとつひとつにお供えするもの、お供えする意味と役割が存在します。また、お供えする際に使う仏具や供え方などについても、宗派によってまちまちで若干複雑ですので事前に知っておくと安心です。
香り
香りとは、お線香や抹香という粉末状になったお香のことを言います。仏壇には、必ずと言っていいほどお線香が置かれているでしょう。これはお線香を焚くことによって、お供えをした本人とその周りにいる人々の心と身体の穢れを清め、仏様に失礼にならないよう近づかせていただくための役割を担っていると言われています。
またその香りが部屋全体に隅々まで行き渡る様子は、すべての生命へ平等に接してくださるという仏様の、人々の苦を取り除き、楽を与えてくださる様を表しているとされています。さらにお線香などを焚くことによって、その香りから仏様や故人と対話できる環境がつくられるということでしょう。
抹香よりもお線香の方が使い勝手がよいことから、お線香を使用されている方を多く見かけます。お線香や抹香のあげ方については、宗派によって異なりますのでお線香をあげる際には調べてみてください。お線香は最後にお供えするものとなります。お線香の火を鎮火する際は、手で扇くようにしてください。人間の口は穢れが多いとされているので、その穢れた息を仏様に吹きかけてしまうことになるので、くれぐれも口で火を消そうとしないよう気をつけましょう。
花
仏壇にお供えする花は供花といい、両端に1つずつ花瓶を設置しお供えをします。
故人の好きだった花や、旬の花を飾ります。造花などでも気持ちがこもったものであれば問題ありませんが、できるだけ生きている花が好ましいでしょう。
生花の場合は、新鮮なものを選びます。そして毎日のお供えの際に前日と同じ花を使うのであれば、お水を新しいものに交換しましょう。花の元気がなくなったら新しいものへ。
新鮮な花を飾るのには、清らかな心でいてほしいという仏様の願いが込められています。またご先祖様にもお花を愛でて楽しんでいただくという役割があります。
灯燭
灯燭とは、ろうそくなど灯りを灯すもののことを言います。その光を灯明と呼びます。世の中のすべてを照らし、私たち人間の悩みや迷いをすべて消し去り、心穏やかにしてくれる役割があると言われています。
仏様の教えを守ろうとする心に導いてくださいます。火をろうそくに灯すこと自体が供養となるでしょう。
お水
水またはお茶をお供えします。きれいな水をお供えすることで自身の心も洗われるとともに、仏様の喉を潤すとも言われています。仏壇の水は常に綺麗なものを置き、手土産などをいただいた際には、一緒に新しい水へ交換しましょう。
昔は、湧き水のような自然水をお供えしていましたが、現在はなかなか難しいので、水道水やお茶をお供えするのが一般的になっています。
飲食
朝夕に炊いた一膳目のご飯をお供えします。しかし、最近では、毎朝ご飯を炊かない家庭もあるので、炊いた日は炊きたてをお供えするようにしてください。私たちと同じように仏様もお供えもので空腹を満たします。ご飯が炊けずお供えができない場合は、故人の好みに合わせたお菓子や旬の果物などをお供えするといいでしょう。
また、仏様へ私たちが日頃食べているものをお供えすることで、今日も仏様のおかげで美味しいご飯を食べられている、感謝の気持ちを伝えるという意味にもなります。仏様はご飯そのものの物体を食べるのではなく、炊きたてのご飯から出る湯気を食していると言われています。炊きたてを準備出来る場合は、お供えしてください。
特別な日にお供えする霊供膳
霊供膳とは、四十九日や法事などの特別な日にお供えするお膳のことです。仏様に感謝するとともに、ご先祖様を供養する意味も込められています。
ご先祖様の好物も並べて一汁三菜を基本としてつくります。ご飯は平らに盛るのではなく、山盛りになるようにするのが好まれるでしょう。
仏様にお供えする食べ物として殺生はしてはいけないという決まりがあるので、魚や肉は使用せず、野菜中心の精進料理を準備しましょう。汁物を作る際にも、カツオや煮干の出汁ではなく、しいたけなどの野菜の出汁を使用するようにしましょう。
仏様に感謝の気持ちを込めて、ご自身で手作りした料理をお供えものとしてできるだけ用意してください。
手土産のお供えものは、のしをつけて、日持ちするものを準備
法事や法要などに初めて行かれる、という方も多いのではないでしょうか。その際には、手土産としてお供えものの準備が必要となります。手土産にするお供えものにはどのようなものが適しているのでしょうか。
持っていくお供えものの選び方
お供えものを持参する際は、お菓子などの食べ物であればなるべく日持ちするものを選びましょう。できれば参列者に配ることができるように個包装のものであれば、いただいた方も喜ばれます。
食べ物の他に、家主が飲まれるのであればビールやお酒などの飲料、供養に使用するろうそくやお線香なども一般的です。金額としては3,000~5,000円程度が相場となっています。購入を検討される際には、参考にしてお供えものを選んでみてください。
のしをつける
お供えする物には、のしをつけましょう。表書きには、よく知られているように用途と差出人の名前を記入します。スーパーやデパート等で購入した際には、法事用などと用途を伝えれば適切なものを選んでいただけるので、不安な場合は相談しましょう。
お供えの仕方
お供えする際は仏壇へ直接お供えするのではなく、最初に家主へ持参したことを伝えてからお供えする許可をいただいた後、仏壇に持っていくのがいいでしょう。
仏壇には上中下と3段あり、上段には仏飯、中段には手土産にいただいたお菓子など、下段には新鮮な果物をお供えする決まりがあります。別途、お供えものを置く用の台などが用意されているところもありますので、その際はそちらへお供えしてもいいでしょう。
お供えもののお下がりをいただく
お供えものは仏壇に置きっぱなしにするのではなく、お供え終わってからできるだけ早くいただきようにしましょう。お供え後、少し経ってからお下がりをいただいてください。
毎日お供えする仏飯や、法事の際にいただくお供えもの。それらは一度すべてが仏様のものとなります。仏様のお下がりをいただく。この行為が仏様との繋がりを強くし、また生かされていることをお教えいただいていると言えます。お供えものをするという行為が、ご先祖様や故人の供養をすることでもありますが、それと同時に私たちはその存在あってこそ今ここに生きられていることを感謝し、お供えものを通して日々清らかな心でいられるよう仏様にお守りいただいているのです。
まとめ
今回は、毎日のお供えについてと手土産のお供えものについてお話ししました。日々のお供えは仏様を供養する他に、私たちの心と身を清めるために必要不可欠なものです。
日々の忙しさに流されて、誰しも人ですから穢れてしまうこともあるでしょう。その気持ちを毎朝のお供えの時間に仏様と向き合うことできれいにしていただきましょう。そして、きれいな心身で仏様やご先祖様に日頃の感謝をお伝えしましょう。
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